2011年12月21日水曜日

道場の作品

 V-netでは、おなじみの作文道場。もう数年やっていますが、一年ほど前から、国分寺カフェスローでも開いています。協力は「自然育児友の会」。今日はこちらの作文道場の作品を二点、紹介しましょう。  紹介するのは高学年の二人、小学5年のI君(ペンネームなし)と小学6年の伝出家りんさんです。
 二人とも古参のメンバーで、最近は特に私が指導しなくても、勝手にメモをつくり、原稿を仕上げて帰ります。以下に紹介する作文も、私がお題だけ決めて、後は二人が勝手に書いたものです。私が低学年の子どもの指導に回っている間、またたく間に仕上げてしまいました。構成メモに1時間。原稿にとりかかって1時間の作品です。お題は季節外れながら「怪談」。
 V-netの作文道場でも思いますが、やはり文章能力を上達させる上で、何より重要なメソッドは、まず定期的に書く習慣をつけること、これが第一なのかもしれません。
 
 では、早速I君の作品を紹介しましょう。I君は真冬でも半袖短パンの超元気なサッカー少年です。

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『こわくない怪談話』  I(小学5年)

こんにちは。Iです。今日は怪談話をします。二話あります。よく聞いてください。
 一話目。「消えた幽霊」
 野球の合宿で神奈川県に行きました。寝るとき、トイレで変な音がします。そこで、ある二人の子が、そのトイレに行ってみました。実は、そのトイレには、コーチから入るなと言われていました。けれど、気になるので、入ってしまいました。一つだけ、ドアに、「この中をのぞな」と書いてありました。でも、その二人はのぞいてしまいました。すると幽霊が何かをパクパクと食っていました。そして、こっちを向きました。二人はこわくなって逃げました。すると、幽霊があとを追いかけてきました。「見たな――」。二人は近くの墓場に逃げました。そして、かくれました。幽霊は二人をさがしました。その間に、二人は部屋にもどりました。お化けはそれを見つけました。でも、見つけたのが少しおくれたので、すぐ見失ってしまいました。でも、幽霊は二人が部屋に戻ったと考えました。二人は、もどった後、ふとんにもぐりこみました。それで、寝たふりをしました。幽霊がやってきました。そして、二人をさがしました。でも、幽霊は一瞬なやみました。しかし、汗をかいている二人が、さっきの二人だとわかってしまいました。
 翌日、二人は墓場で死んでいました。防犯カメラを見ると、幽霊は映っておらず、二人の少年がただ走っている映像しか映っていませんでした……

 皆さんは、今の話を聞いたことがあっただろうか。では、次の話にいこう。

 二話目。「はいなら一回、いいえなら二回」
 ある人が山登りに行きました。でも、山に登っている途中、吹雪にあいました。だから、もどろうとしましたが、すべって谷に落ちるかもしれないと思い、結局のぼることにしました。のぼっていると、小屋が一つ見えました。だから、泊めてもらおうと、近くに行き、「だれか、だれかいませんか」と言いました。けれど、返事がありません。そこで、もう一度、もう一度と、何回も聞きました。が、やっぱり返事がありません。仕方なく、「入りますよー」と言い、中に入りました。そうしたら、今まで眠くなかったのに、急に眠くなり、寝てしまいました。何時間たったでしょうか。何か変な音がするので、起きてしまいました。それは外から、誰かがドンドンとドアをたたいている音でした。「ここの人ですか?」。答えてくれません。「あなたもここにとまりたいのですか?」。答えてくれません。じゃあ、答えたくないなら、僕の質問に答えてください。はいなら一回、いいえなら二回、ドアを叩いてください」。「ドン」。「では、いきます。あなたは人間ですか?」。「ドンドン」。二回。いいえ。「あなたはここにとまりたいのですか?」。「ドンドン」。二回。いいえ。その後もどんどん質問に答えていきます。この人には、このドアの向こうにいるのはえたいの知れない物体であるであることがわかりました。「最後の質問です」。この人は思い切って聞いきました。「あなたは一人ですか?」……      「ドドドドドドドドドドドドッッッ」
 その後、その人は遺体で見つかりました。

  皆さんは、今の話を聞いたことがあっただろうか。もしも同じことが本当におこったら、ぼくに教えてくれたまえ。

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 次は、伝出家りんさんの作品です。幾つもの名作をものにしてきた彼女は、道場では「御大」「大先生」などと呼ばれています。作品によって文体まで使い分ける、彼女の最新作をお楽しみください。

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『怪談』 伝出家りん(小学6年)

 一、「夢の無限ループ」
 
 Yは夢を見るのが好きでした。
「今日はどんな夢が見れるかなぁ」
わくわくしながらふとんに入ります。……悪夢でした。居間のいすに座り母親がさめざめと泣いています。
「どうしたの?」
声をかけると母親が顔を上げます……。その顔には、目も鼻も口もない、のっぺらぼうなのです。
「きゃーっ」
自分の悲鳴で目が覚めます。母親がのぞきこんでいました。
「大丈夫?」
「うん」
ほっとする。そう思ったとたん、母親の顔がドロドロと溶けだします。母親が追いかけてきます。必死で逃げます。にげる……にげる……
 Yが再び目を開けることはありませんでした。

 二、「道」
 部活の帰り道、俺は人気のない細い道を歩いていた。すると目の前に、若い女の人が現れた。真冬だというのにノースリーブのワンピース。顔は下に向いていて泣いているようだ。
「どうしたんですか?」
声をかけると、ゆっくりと頭を上げる。顔がない。顔があるはずの場所にはポッカリと黒い穴があいているだけだ。
「私の……私の顔を返して……」
怖くてにげだした。家につき、ドアを閉める。
「どうした?」
祖父が俺に声をかけた。俺があったことを話すと、こう教えてくれた。あの道がある所には昔、大きな家が建っていたが、火事で焼けてしまった。生き残った娘も、顔に火傷をおい、病院の屋上から飛び下り、自殺した……。
 俺はその後、毎月に一回あの道に花を供えている。

 二つの怪談はどうだったでしょうか。世の中には不思議なことがたくさんあります。あなたの身に起こるのは、明日かもしれません。

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by 未田武史

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